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クライミングシューズ解剖学 vol.2 〈MIURA/MIURA VSミウラ/ミウラ VS

OUTLINE

はじめに

福岡のボルダリングジムオーナーであり、LA SPORTIVAのセールスレップでもある小川慶士氏による【クライミングシューズ解剖学】の第二弾。

今回は、エッジングシューズの代表格「MIURA」と「MIURA VS」について深掘りします。


MIURA
ミウラ

MIURA
ミウラ

アッパー スエードレザー
ソール Vibram XS EDGE 4.0mm
サイズ 36~46(ハーフサイズあり)
重さ(1/2ペア) 約245g
テクノロジー VIBRAM XS EDGE

MIURA VS
ミウラ VS

MIURA VS
ミウラ VS

アッパー スエードレザー
ソール Vibram XS EDGE 4.0mm
サイズ 36~46(ハーフサイズあり)
重さ(1/2ペア) 約260g
テクノロジー P3 SYSTEMVIBRAM XS EDGE

「MIURA」と「MIURA VS」の歴史

まずは、その歴史から。
28年も前になる1997年に発売された「MIURA」は、発売当初から基本構造は変わらないが、ミッドソールやアウトソールの変更等のアップデートが施され、2018年に現在の姿に落ち着いたスポルティバのアイコン的なモデルである。
(筆者の最初のMIURAのソールは、「formula XSV」だった)

目指しているところに違いはあるが、アシンメトリーなアッパー構造は1996年発売の「MIRAGE」の存在がお手本になっている。

また、エッジングを追求したモデルでありながら「ヒール最強!」「スラブがいい」等、マルチに活躍するのも特徴だ。

2008年には「MIURA VS」が発売となるが、3本締めベルクロモデルに変貌したと同時にP3システムを採用したことに驚いたのを覚えている。
こちらは、2023年に「ダブルテンションランドの形状」「トウ部分のランド形状」「ヒールが細めに」といった改良を施されている。

その後、「P3システム」を採用したアダム・オンドラのシグネチャーモデル「MIURA XX」が、20周年モデルとして2017年に発売された。

2005年頃だったと記憶しているが、派生モデル「COUNTACK」という名の「HPHヒール」というギザギザしたヒールを搭載したモデルも存在した。
(これで、モデル名の由来はお判りいただけるだろう)
(筆者は実物を見たことは無い)

[構造]をリアル解剖

では、分解モデルを見てみよう。

「MIURA」のアウトソールを剥がしてみると、黄色いスリングショットが「ダブルテンションランド」「ヒールのサイドラバー」の上に貼り付けてあるのが分かる。
立ち込みの際の爪先への入力を最大限に生かすための「パワーヒンジ」と呼ばれる構造だ。(画像①②)

硬い靴として有名なモデルだが、1.1mmのLaspoFlexミッドソールは「フロント部分」にしか入っていない。(画像③)
(前回紹介した「SKWAMA」は、厚さこそ0.8mmだが、全体にミッドソールが入っている。)

ランドラバーまで剥がしてみて気が付くのは「アッパーはしっかり爪先が下を向いている」という事だ。(画像④)

ダウントゥの形状を長くキープする「P3システム」

では「MIURA VS」は、クロージャーシステム以外に違いがあるだろうか?(手元にあるのが旧型なので、お許し下さい)

「パワーヒンジ」構造は、全く同じに見える(画像⑤)が、この赤く囲んだ部分に違いがある。(画像⑥)

そう、これが「P3システム」だ。この部品を剥がして、それをもう一度パワーヒンジの結合部分に合わせてみると、爪先まで全く届かないのが分かっていただけると思う。(画像⑦)

これを引っ張りながら貼る事で「元に戻る力」を利用して、シューズ全体のアーチシェイプを保っているわけだ。
(エッジングモデルの「P3システム」は、これと同じ手法を採用している。)

ミッドソールとラストは「MIURA」と全く同じものだが、「MIURA」のフットベッドにはデンテックスのライニングが施されているが、「MIURA VS」ではそれがソール側に配され「足指の当たりの良さ」につながっている。
(ソール側から見ると「MIURA」は黄色く、「MIURA VS」は黒い)

※前述の通り、最新の「MIURA VS」には、複数の変更点がある事をお忘れなく。

おわりに

「P3システム」によるアーチの強さと、そこに一つ素材が多くなる事になるので、個人的には「MIURA VS」の方が剛性感を感じる。
一方で「MIURA」は、使い込むことでアーチシェイプが崩れてしまうが、それゆえオールマイティな印象が強い。

エッジングに特化して、推奨サイズより小さく使用するならばシューレースで調整が可能な分「MIURA」を選ぶ方がいいだろう。
30年目を迎える2027年に、さらなるアップデートが実行されるか、今から楽しみである。

WRITER

小川 慶士 Keiji Ogawa

福岡県博多のボルダリングジムオーナーでもありLA SPORTIVA JAPANのセールスレップを務める。
LA SPORTIVAだけでなくクライミングシューズ全般に精通し、注目のシューズはちょっと履いたらすぐに分解して構造を調べる。

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MIURA

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ミウラ

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MIURA VS
ミウラ VS

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