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FOR OUR MOUNTAIN - スポルティバジャパン公式ブログ

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不整地も舗装路もこの1足で楽しめるオールラウンド・トレイルランモデル 〈KARACALカラカル

RECOMMEND ITEM : KARACAL

はじめに

日本海(富山湾)をスタートして太平洋(駿河湾)までの総距離415km、北・中央そして南アルプスを、自らの足のみで8日間以内に踏破を目指す「トランスジャパン・アルプスレース」、通称 “TJAR”。2年に1度、偶数年に開催されるこのレースですが、昨年は新型コロナウイルスの影響で延期となり、今年「Trans Japan Alps Race 2020」として開催されました。2018年に続き今回もNHK取材班として選手に並走しながらの撮影を行っていましたが、台風9号および温帯低気圧の日本海側通過による荒天により、まだ多くの選手がまだ北アルプスを通過している大会2日目に、残念ながら「大会中止」となってしまいました。(TJAR2020の番組放送はまだ決まっていませんが、放送予定が分かりましたら改めてお知らせさせて頂きます。)

今大会でも予選・本戦含めて多くの選手がLA SPORTIVAのトレイルランニングシューズを履いて挑戦する姿がありました。その中でもこの過酷な山岳レース用に選ばれていたのが〈AKASHA〉。すでにロングセラーの域に入ってきた〈AKASHA〉ですが、衝撃吸収性の高さに加え、爪先周りが柔らかく横幅にも余裕があるため、長時間の歩行で浮腫んだ足を柔軟に受け止めてくれるところがロングトレイルで選ばれるポイントだと思います。〈AKASHA〉に関しては、過去に掲載している〈JACKAL〉の紹介の中で:「長距離レース向けの人気モデル〈AKASHA〉との比較」にて、触れていますので、ご興味のある方はこちらよりご覧ください。

今回のブログより、スポルティバジャパンで取り扱っているCalze GM®(※以下 GMソックス)のスポーツソックスについても、ご紹介していこうと思います。GMソックスは、LA SPORTIVAと同じイタリア北東部に位置するドロミテ山地で1960年に設立されたブランドです。イタリアの職人達によって60年以上紡がれている伝統的な技術と知識を用い、さらに時代の変化と共に進化する最先端技術を融和させて最高品質を追求するアウトドア用のソックスの開発に取り組んでいます。

1962年にはイタリアで初めて、パイル技術を組み入れたクッション性に優れたソックスを製品化し、2000年には世界で初めて左右の足別々の専用パターンを用いたソックスを発表しました。日本ではまだ聞き慣れない「カルツェ ジーエム」というブランド名ですが、30年以上にわたってアルペンスキー・イタリア代表チームへのソックスの提供、そしてアルパインクライマーと共に全ての8000メートル峰の登頂も果たしています。現在では環境を守りながら製品を作り続けるため、素材・製造・流通における具体的な施策を積極的に取り組んでいるブランドでもあります。

高所登山や極地で使用する寒冷地対応のソックスも2シーズン前から使用し、是非ご紹介したい製品がいくつかあるのですが、それは冬になる前に改めてこのブログの中で掲載するとして、今回はTJAR 2020の撮影でも〈ULTRA RAPTOR Ⅱ Mid GTX®と共に足元をサポートしてくれたGMソックス〈TREK COMFORT〉をご紹介いたします。

GMソックスの「TREK」=トレッキング・シリーズの中でもメリノウールが40%混紡されている〈TREK COMFORT〉は、踵と爪先のストレスポイントとなるエリアは厚手のパイルになっていて、クッション性とフィット感が優れています。メリノウール素材の特長でもある、「保温性」「防臭力」「通気性」「肌触り」がよく、時間帯や天候によって真夏でも寒暖差が大きい日本アルプスでの長時間活動に適しているため、TJARの現場でも迷わずこれを選びました。

〈ULTRA RAPTOR Ⅱ Mid GTX®〉などGORE-TEXを採用した防水シューズは、雨や泥などの外部環境からの濡れに強い反面で、非防水のメッシュアッパーのシューズに比べると通気性が劣ります。そこで汗を肌から引き離し蒸散させようとしてくれるメリノウールの吸放湿性が活躍します。メリノウールの繊維は保水している状態でも保温力が持続する特長もあり、低温時に汗冷えを防ぐ効果もあります。さらに指先から甲に当たる可動部は、発汗放熱をしやすくするため、メッシュ編み構成になっていてファストハイクなど比較的アクティブな活動での快適性も考慮された設計になっています。

ソックス丈は〈ULTRA RAPTOR Ⅱ Mid GTX®〉のミッドカットよりも長いブーツ対応ため、ミッドカットはもちろんのことブーツタイプのシューズにも対応します。サイズ感に関しての参考値ですが、カタログスペック上は、Sサイズが「EU38-40(24.3cm〜25.5cm)」、Mサイズが「EU41-43(26.1cm~27.3cm)」になっていて、シューズサイズが「EU41」の私はちょうどSとMの狭間になります。実際に両サイズを試してみた印象としては、この場合「Sサイズ」の方がフィットします。爪先から踵まで柔らかいパイル生地であることに加え、足首周りの締め付けが強くないので、迷ったら小さめのサイズを選ぶことをお勧めします。

GMソックスについては、まだまだ語るべきことがありますが、このまま続けると本編に辿り着かなくなるため、今回はここまで。次回以降のブログでも少しずつGMソックスの紹介もしていければと思います。なお、現在日本で取り扱いがある商品はこちらよりご覧いただけます。GMソックスにご興味ある方は是非覗いてみてください。

〈JACKAL〉をベースにした中長距離向けのトレーニングモデル

今回のFOR OUR MOUNTAINでご紹介するのは、今シーズン発売されたトレイルランニングシューズの新商品〈KARACAL(カラカル)〉です。外観を見比べてお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、前シーズンにリリースされた〈JACKAL(ジャッカル)〉[上写真2枚目]のシリーズ商品になります。〈JACKAL〉は研究開発チームと契約アスリートチームのコラボレーションにより産み出された長距離レース用モデルに対し、〈KARACAL〉は中長距離向けのトレーニング用モデルとして開発されました。

「レース用」に対して「トレーニング用」と聞くと性能が劣っているように思われるかもしれませんが、〈JACKAL〉をスペックダウンした廉価版が〈KARACAL〉ということではありません。〈JACKAL〉のソールには1日以上不整地を走り続けるために、高いクッション性と反発力を併せ持ったポリウレタンパッドがミッドソールに埋め込まれていますが、日々のトレーニングでは、多くの人にとってそこまでのスペックは必要ありません。また、自宅や駅からトレーニングを始める場合は、トレイルの入り口まで舗装路も走ることになるため、アウトソールのラバーは、〈JACKAL〉に比べてグリップ性を少し落とす代わりに耐摩耗性を上げた素材を採用し耐久性を高めています。

基本的な足型やアウトソールのパターンはそのままに、シーンによって〈JACKAL〉と使い分けができるように開発されたオールラウンドモデルが、この〈KARACAL〉なのです。この汎用性の高さは、用途の広さにも比例します。トレイルや近所の舗装路を「走る」だけではなく、トレッキングやウォーキングなど「歩く」という目的にも使いやすいので、これからトレイルランニングを始める方の1足目として、また走らない人の山歩きシューズとしてもお勧めです。

軽量メッシュアッパーと熱圧着補強により成形された快適ボディ

では、ここから〈KARACAL〉の詳細を見ていきましょう。まずは、アッパーからです。〈KARACAL〉の重量は片足約290g(サイズ42)。〈LA SPORTIVA〉のトレイルランニングシューズで300gを切るのは比較的軽量なグループになります。アッパー全体がメッシュ素材で覆われ、爪先や側面などトレイル上で岩や木の根などに当たって擦れる部分を熱圧着によるプロテクトパーツで補強し強度を高めています。

踵部の両側面とシューレースホールの最上部にも、厚みがあるプロテクトパーツがレイアウトされていて、靴紐を締めた時の足首周りのホールド感や足入れした時の踵部のフィット感を高めてくれます。

足の甲や踵、そしてアキレス腱の下部に触れるシューズ内側も、クッション材が入ったメッシュパーツで構成されています。最近のレース用シューズは、この部分が薄く最低限のクッションで作られているものが増えてきていますが、〈KARACAL〉はしっかりとした厚みのあるクッション素材で履き心地もよく、初めてトレイルランニングシューズを履いて不整地を走るという方にも優しい仕様になっています。

中長距離のトレーニング向けに調整されたソール構成

続いてミッドソール・アウトソールについて見ていきましょう。ソールの構成を図に表すと上図のようになります。(A)がアッパーとソールを繋ぐミッドソールのメインボディ。(B)が不整地において地面の凹凸による突き上げを和らげるロックシールド。(C)は、地面と直接触れるアウトソール。そして(D)がヒールフレーム。(A)と同じような素材感に見えますが、硬さが違います。(A)はクッションの役割を果たし、(D)はブレを制御するスタビライザーの役割を担っています。

それに対して〈JACKAL〉のソール構造は上図のようになっています。〈KARACAL〉と外見は同じように見えますが、冒頭でも少し触れたように外観からは分からない違いが2つあります。1つ目は前足部と踵の下に凹みがあり、高いクッション性と反発力を生み出すポリウレタンパッドが2つ埋め込まれていること。そのパッドがあることにより足への衝撃を吸収して筋肉へのダメージを軽減できますが、中長距離の日帰りトレーニングをターゲットにしている〈KARACAL〉では省略されています。

2つ目の違いは、アウトソールで使われている素材です。〈JACKAL〉のアウトソールにはグリップ性と耐摩耗性がバランスよく配合された「FRIXION® RED」というラバーが使用されていますが、〈KARACAL〉のアウトソールにはグリップ性を落として耐摩耗性を上げたコンパウンド「FRIXION® BLUE」が採用されています。これにより舗装路で使った時の摩耗を減らすことができ、ソールの耐久性が相対的に増すことになります。

「グリップ性を落として・・」と書きましたが、だからと言って「滑りやすい」ということではありません。LA SPORTIVAのソールは「IMPACT BRAKE SYSTEM(インパクトブレーキシステム)」と呼ばれるラグパターンがシューズごとに設計され、物理的にグリップ性を高める構成となっています。ラグの接地部分を斜めにカットし、それらを互い違いにレイアウトすることによって、登りでの駆動⼒、そして下りでのブレーキに加え、着地時の衝撃吸収を物理的に効かせるといったマルチタスクを担っています。

「IMPACT BRAKE SYSTEM」はLA SPORTIVAの登山靴やトレイルランニングシューズに共通する機能ですが、シューズの用途によってそのパターンも千差万別です。〈KARACAL〉のラグの高さの公表値は3.5mmですが、グリップ性能を発揮する前足部のラグの根元には、深さ3mmの溝が彫られているので、滑りやすい泥や土の上では3.5mm+3mm=6.5mmの高さのラグとして機能するようになっています。逆に舗装路を含む硬い路面を走る際には、3.5mm分のラグのみを使い少ない抵抗で進むことができるのです。

またソールの中心に(B)のロックシールド(黒色)が露出している部分がありますが、この部分は「シャンク」と呼ばれ靴のアーチを支える芯材の役割を担っています。外見からはわかりませんが、この(B)が露出している部分の断面はリブ状に厚く作られていて、凸凹した不整地におけるソールの捻れを軽減し、(D)のヒールフレームとともに足首のブレを抑制する役割を担っています。

おわりに

外見はシンプルなトレイルランニングシューズですが、高いフィット感、そして高い通気性を確保するための様々な工夫が、300gを切る軽量ボディに詰め込まれています。不整地も舗装路もオールラウンドに対応するこの〈KARACAL〉で、トレイルランニングそして山歩きを楽しんでください。

最後にインソールシステムについて、ご紹介しておきます。〈LA SPORTIVA〉のトレイルランニングシューズには、世界中の多くのシューズブランドから広く支持されているORTHOLITE社のインソールが採用されています。それぞれのモデルの性格に合わせ2種類の厚み[4mm:ORTHOLITE MR E / 5mm:ORTHOLITE MR]のいずれかが適用されます。

〈KARACAL〉に採用されているのは、パフォーマンス重視で反応性の良さが特徴のORTHOLITE MR E(MOUNTAIN RUNNING ERGONOMIC)。ORTHOLITE社のインソールは長期間の使用でも95%以上の厚みを保持する品質と、ポリウレタンを膨らませたオープンセル構造による通気性の良さが特徴です。アウトドアショップには、様々なカスタムインソールも販売されていますが、まずはこの純正インソールを試していただければと思います。

ここまで今シーズンにリリースされたトレイルランニングシューズ〈KARACAL〉をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。この機会に〈JACKAL〉について記述したブログ FOR OUR MOUNTAIN vol.1〈JACKAL〉も併せてご覧いただくと、今どちらを購入すべきなのかがクリアになってくるかと思います。〈KARACAL〉を試してみて足に合うようであれば、長距離走やレース向けに〈JACKAL〉を導入してみると良いと思います。

[ 次回予告 ]

次回のFOR OUR MOUNTAIN vol.12では、クライミングシューズより〈THEORY〉をご紹介いたします。現代のスポーツクライミングに対応した高機能コンペティションモデルとして開発されました。動物のしなやかで力強い足を研究して生まれたグリップ力と足裏感覚が特長のインドア向けシューズです。

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写真:KARACAL

KARACAL
カラカル

高いショック吸収性を持つコンフォートなオールラウンドモデル

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写真:JACKAL(ジャッカル)

JACKAL ジャッカル

最速のロングディスタンスモデル

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FOR OUR MOUNTAINWRITTER

写真:一瀬圭介

<LA SPORTIVA アンバサダー>
一瀬 圭介 Keisuke Ichinose

プロマウンテンアスリート・山岳カメラマン。アラスカなど極北地帯の雪上を数百キロ進む超長距離バイクパッキングレースを中心に、ファットバイクによる競技活動を行う。また、山岳カメラマンとして国内外のアウトドアフィールドにおける映像制作なども手がける。2020年より福島県二本松市岳温泉にて「丘と山製作所」を立ち上げ、磐梯・吾妻・安達太良山域にてアウトドアアクティビティに関する事業も展開する。カリマーインターナショナル / ラ・スポルティバ アンバサダー

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