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FOR OUR MOUNTAIN - スポルティバジャパン公式ブログ

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登山、クライミング、トレイルランの技術が生んだHike系アプローチシューズ「TX5シリーズ」

RECOMMEND ITEM : TX 5 LOW GTX®/TX 5 GTX®

はじめに

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する緊急事態宣言は解除され、徐々に元の日常に近づき始めはしましたが、まだまだ予断を許さない状況は続いて行くものと思われます。私の現在の活動拠点、福島県の安達太良山の山頂で行われる山開きの神事も、今年は登山口があるスキー場のロッジ内で執り行われました。そして、これが日常化してきてしまったソーシャルディスタンス。これを「新しい生活様式」と呼ぶのかもしれませんが、このスタイルが本当の日常にならないよう、早く収束してくれることを願うばかりです。

本来ならば、この6月は、昨年からLA SPORTIVAが大会のタイトルスポンサーとなったウルトラトレイルレース『Lavaredo Ultra Trail 2020』に出場予定でしたが、今年度の大会は中止。襲いかかって来るようにそびえ立つ岩壁の迫力に圧倒されながら、世界遺産Le Dolomiti(ドロミテ)の絶景を縫うように走る120kmは、何度でも味わいたいと思える刺激的なトレイルランニングレースです。

Youtubeで視聴する 

昨年のLavaredo Ultra Trailのハイライトは、こちらのオフィシャルムービーで観ることができますので、興味のある方は是非!それにしても昨年のこの時期は、“欧州で史上最高”と言われた熱波による記録的な猛暑で、とにかく暑かったことを、これを観て思い出しました。もし「このレースに出たい!」と思ったならば、全部入りの最長距離の[LUT/120km]か、そのLUTの絶景スポットいいとこ取りルートとして新設された[UD/80km]がオススメです。

「アプローチシューズ」って何?

さて、今回は、LA SPORTIVAの「トラバースXシリーズ(以後、TXシリーズ)」の中から、2020シーズンの新商品〈TX 5 LOW GTX®〉と、その原型となっている〈TX 5 GTX®〉にフォーカスを当ててご紹介していきたいと思います。

LA SPORTIVAファンの方なら、「TXシリーズ」と聞くと、「=アプローチシューズ」と情景反射してしまうかもしれませんが、このTX 5シリーズの2足に関しては、用途だけで言えば、いわゆる「登山靴」のカテゴリーに分類したほうが良いかもしれません。ただ何故にこのTX5シリーズが“TX”の肩書きを背負っているのかには理由があります。そのあたりを含め、今回も少しマニアックに掘り下げていきたいと思います。

まずは「アプローチシューズって何?」という方もいらっしゃると思いますので、そこから始めましょう。「クライミング・・・・・・シューズ」や「トレイルランニング・・・・・・・・・シューズ」は、その名の通りなので、その用途に関しては説明不要ですが、「アプローチ・・・・・シューズ」と聞いても、「何のためのアプローチ?」となりますよね。

・・その「何」の答えは「クライミング」です。クライミングと言っても、家からボルダリングジムに通うためのアプローチではなく、所謂「ロッククライミング」と言われるような外岩を登るために、岩場に向かう(=アプローチする)ときに履くためのシューズを「アプローチシューズ」と呼んでいるのです。

ロッククライミングができるような大きな岩場に行くためには、ロープやハーネス、カラビナなど多くのギアを背負って、一般的なハイキングや登山と比べてハードで険しいトレイルを往復することもあります。その過程で岩稜帯を通過したり、場合によっては岩をよじ登ったりと、アプローチ時点で既にクライミングが始まっていることもしばしば。そのため、アプローチシューズのソールの爪先の先端部分には「クライミングゾーン」と呼ばれるエッジが立った平坦部があり、岩の小さな凹凸にも乗りやすくなっているのが特徴です。

また、目的の岩場に到着してからも、ビレイヤー(ロープクライミングをする際にクライマーに繋がったロープの繰り出しを行い、安全を確保する人)として登っている人のロープを捌いている時などにも使用します。クライミングシューズを履いて岩登りをする以外の時間を過ごすためのシューズであり、登山靴とクライミングシューズの中間的な機能と役割を担うシューズとも言えます。

そういった意味では、現在のLA SPORTIVAのラインナップの中で ”THEアプローチシューズ”と言えば「TX4シリーズ」でしょう。登山道歩きも快適にこなせる軽量なシューズでありながら、テクニカルな岩稜帯でも登攀しやすく、とにかくアッパーの耐久性も高い。私自身の山仕事で最も登場する機会が多いシューズの一つで、とても頼りになります。

今でこそ、このようなシューズを総称として「アプローチシューズ」と呼んでいますが、元々登山靴のソールにクライミングゾーンを付けたのは、LA SPORTIVAが発祥だとか。今ほど多様なシューズが販売されていなかった時代、北イタリアの山岳レスキューやガイドなどの要望により、登山靴のソール先端にラバーを貼り付け、岩場でも活動しやすいようにカスタムメイドしていたのが、後に「クライミングゾーン」として流通製品のソールにも取り入れられ、現在に至るということです。

TX=「マウンテニアリング」×「クライミング」×「トレイルランニング」

スポルティバジャパンのWEBサイトで「APPROACH」カテゴリーのシューズを検索すると、これだけ多くのシューズが出てきます。さらにそれらのシューズの製品名を順に見ていくと…その大半のシューズに“TX”が付いています。この ”TX” と言うのが冒頭の方でも触れた、“トラバースX(エックス)”というこのシリーズ名の略ということになります。

では、この“TX”から製品名がはじまるシリーズの共通点は何でしょう。

・・それは、LA SPORTIVAの主要3カテゴリーである「マウンテニアリング(登山)」、「クライミング」、「トレイルランニング」の靴作りで生まれたテクノロジーが融合された製品であるということです。異なるカテゴリーを横断(=トラバース)して作られた、未知数(=X)のポテンシャルが“トラバースX”という名に込められていて、90年以上続くシューズブランドの伝統と革新により生み出されたシリーズとも言えます。

「アプローチシューズ」そして「トラバースX」についての説明が終わったところで、いよいよ〈TX 5 LOW GTX®〉と〈TX 5 GTX®〉のご紹介に移っていきます。それらの機能紹介に加え、他のTXシリーズとの違いや共通点など含め、詳しく解説していきたいと思います。

極めて登山靴に近いアプローチシューズ〈TX 5 GTX®

TXシリーズに属するシューズは、開発時に想定される用途によってClimb / Approach / Hikeの3つのいずれかに分類されています。〈TX 5 LOW GTX®〉と〈TX 5 GTX®〉の分類は、いずれも「Hike」。岩場へのアプローチというよりかは、様々なトレイルを歩くことを目的とした、ハイキングシューズとして開発された製品であり〈TX 5 GTX®〉は、そのハイカットモデルとなります。

「Hike」の解釈も様々ではありますが、北アルプスなどの岩稜帯を縦走するような難易度ではなく、中低山や丘陵での山歩きを「ハイキング」と呼ぶのであれば、現在のスポルティバのシューズラインアップを見渡しても〈TX 5 GTX®〉は、これから山歩きを始める人に最もオススメできる一足であると言えます。足首までしっかりサポートしてくれるハイカットブーツでありながら、本格的な登山靴ほどソールが硬くないので歩きやすく、さらに防水仕様であるため、足首までの深さの渡渉や雪渓、そして雨の中での山行になったとしてもソックスを濡らすことはありません。

では、もう少し詳しく〈TX 5 GTX®〉を見ていきましょう。

まず初めにお伝えしたいのは、〈TX 5 GTX®〉の骨格は、スポルティバの登山靴の代名詞と言っても過言ではない「トランゴシリーズ」をベースに形成されているということです。足入れ部のネオプレンカフやシューレースシステム、そして足首をきっちりホールドしながら必要な可動域を確保する「3Dフレックスシステム」も搭載しています。

さらにアッパー部分のライニングには、防水・透湿性のあるGORE-TEX®を採用。くるぶし辺りまでの浅い渡渉や残雪期の雪渓歩きに加え、雨や雪の中でのハイキングでも足を濡らさずに快適な山歩きが楽しめます。本格的な冬靴のように保温効果までは無いので、厳冬期の冬山登山にまでは対応していませんが、浅雪がつくくらいの中低山であれば、ソックスの素材や厚さの工夫次第で、4シーズン通して履くことも可能な仕様です。また、ワンタッチ式アイゼン用のコバは付いておりませんが、チェーンスパイクやベルト式の軽アイゼンであれば、取り付け可能です。

素材・製法技術の進化により、様々なアウトドアスポーツにおいて装備の軽量化が進む昨今、登山靴に関しても、それは例外ではありません。〈TX 5 GTX®〉は、スポルティバの登山靴の中で「軽量」とうたわれているモデルと比べても片足あたり約100グラムも軽く作られています。昨年の夏、日本アルプスの縦走路でも〈TX 5 GTX®〉を履いている人が思った以上に多かったことを鑑みても、今後この潮流は加速していくものと思われます。

体力や登山技術のレベル、そして背負う荷物の重量やルートによっても向き不向きが異なるので、「軽い」ことが必ずしも良いとは言い切れないのですが、これから中低山を中心に山歩きを始めてみようと思っている方には、初めて買う登山靴として〈TX 5 GTX®〉を強くオススメします。将来的には高い山や冬山にも登りたいということで、登山デビューのファーストシューズにソールが硬いカチッとした登山靴を選ぶ方もいらっしゃいますが、足裏や足首が痛くなり、「もう山には行きたくない!」となってしまっては元も子もありません。

また、「軽い」ということは、体力の消耗を抑えることにもつながり、長い時間トレイルを歩き続けるためのアドバンテージとなります。ファーストシューズを履き潰すまでの期間を山歩きのための研修期間とすれば、まずは少しでもフィールドに触れ、不整地を歩くことの楽しさを脳にインプットすることが大切です。そういった意味で、〈TX 5 GTX®〉は、その船出をしっかりとサポートしてくれる心強い相棒となるはずです。

「ファーストシューズに!」ということを書きましたが、決してビギナー向けシューズということではありません。すでに数多くの登山経験をされていている方であれば、この軽さでこの剛性とクッション性を持ち合わせている事の素晴らしさを感じ取っていただけるはずです。全ての山行がこの一足で足りるという事にはなりませんが、逆に「この靴でかなりカバーできちゃうな」とも思うでしょう。トレイルランニングとまではいきませんが、より軽い装備でより長い距離を稼ぐファストパッキングを始めるための一足としてもオススメです。これまで「トランゴシリーズ」を履いていた方でも、〈TX 5 GTX®〉であれば、物足りなさは感じないはずです。

〈TX 5 GTX®〉を軽量化したローカットモデル〈TX 5 LOW GTX®

その製品名からもお分かりの通り、〈TX 5 GTX®〉のハイカット部分をバサッと切り取り、足首周りのホールド安定感と引き換えに更なる軽快感を重視目指したローカットモデル、それが〈TX 5 LOW GTX®〉です。アッパー素材にヌバックレザーを使用していること、ライニングにGORE-TEX®を採用しているのも同じ。ソール周りのプラットフォームも〈TX 5 GTX®〉と共通仕様になっています。

クッショニングやソールの硬さなど含め、足裏感覚も基本的に〈TX 5 GTX®〉と同じなので、〈TX 5 GTX®〉ユーザーの方には、購入初日から違和感なく履き分けて頂けると思います。荷物が少ない日帰りのライトハイクや日々のトレーニング山行、また山以外でも、大雨や雪の日の通勤などで、アッパーの防水性能やアウトソールのグリップ性能が遺憾なく発揮されることでしょう。

では、〈TX 5 GTX®〉の章では掘り下げなかった、共通プラットフォーム部分について詳しく解説して行きたいと思います。
まずはじめに「アウトソール」から見ていきましょう。「アプローチシューズ」は、クライマーが岩場に向かう時に履くために作られたシューズであることや、登攀しやすくするために、爪先にクライミングゾーンがあることを既に説明しましたが、この〈TX 5 LOW GTX®〉や〈TX 5 GTX®〉のアウトソールには、そのクライミングゾーンがありません。トレイルを快適に歩くことにフォーカスして作られている「TX5シリーズ」のソールパターンは、これまでのTXシリーズには無かったこのアウトソールに最大の特徴があるとも言えます。

アウトソールにはラバー材の最高峰と称されるVibram®社の製品、いわゆる「ビブラムソール」を使用しています。その中でも〈TX 5 LOW GTX®〉や〈TX 5 GTX®〉のアウトソールには、「メガグリップ」が採用されていて、マッドコンディションやウエットコンディションで高いグリップ性能を発揮します。

また、ラグ(アウトソールの凹凸)の形状と配列は、Vibram®社とスポルティバが共同開発した「インパクトブレーキシステム」と呼ばれるパターンを採用しています。ラグのパターンとラバーの粘性を利用して、下り坂でスピードをコントロールするブレーキ性能と、上り坂で確実に地面を捉えて蹴り出すトラクション性能、そして着地の際の衝撃吸収までも同時に行うという、まさに”システム”と呼べる仕組みが足裏で稼働しています。素材ブランドとシューズブランドのソール開発技術の粋が集められたプラットフォームを搭載していると言っても過言ではありません。

Vibram®社の「メガグリップ」、そして「インパクトブレーキシステム」を採用していても、ラグの形状や配列によって、得意とする対応域が少し異なってきますので、その違いについても見ておきましょう。

上写真の左がTX 5シリーズ、そして右がTX 4シリーズに採用されているアウトソールです。岩稜帯を得意とする後者のラグパターンは、爪先部分にクライミングゾーンがあり、前足部には吸盤のような形状のラグが配置されていて、濡れた岩に対しても吸い付くようにグリップするのが特徴です。TX 4シリーズの「インパクトブレーキシステム」は、踵部のみに適応されていて、登攀性能と歩行性能を50パーセントずつ分け合っているデザインになっています。

TX 5シリーズ、TX 4シリーズともに、山歩き用に開発されたシューズではありますが、一般的なトレイルでの山歩きがメインであれば、衝撃吸収性の高いTX 5シリーズのラグパターンがアドバンテージが高く、一方岩場歩きや登攀を伴うような場合には、TX 4シリーズのようなハイブリッド型のラグパターンに軍配が上がります。

では、話題をアウトソールからミッドソールに移していきましょう。写真の黄色いパーツ(※写真はいずれも〈TX 5 GTX®〉)がミッドソールです。主に歩行時の横ブレを抑えたり、衝撃を吸収したりといったクッションの役割を担うミッドソールには、トレイランニングシューズに採用されている「STBコントロールシステム」というテクノロジーが搭載されています。土踏まず付近の両サイドに横ブレを制御するプラスティックプレートをはめ込み、アッパーからミッドソールまでをひとつのパーツで巻き込むことで、土踏まずのアーチを保持しながらフィット感を向上させ、歩行時の安定性を向上させます。シューズの外観には表れない機構ですが、不安定な路面コンディションにおいて、左右への倒れ込みを縁の下で抑えてくれています。

この「STBコントロールシステム」は、前回のブログで登場した長距離向けのトレイルランニングシューズ〈AKASHA〉にも搭載されています。不整地を走る際に、路面からの突き上げや衝撃による振動を抑え、足の筋肉への負担を最小化することは、100km以上もの距離を走り続けるために重要なポイントです。横ブレが大きければ大きいほど、そしてそれが長く続けば続くほど、前に進むための推進エネルギーはロスしていくため、限られた体力を効率的に使い、パフォーマンスを維持するためにも、着地した足を無駄にブラさないことが求められるのです。

また、このシューズの「安定感」に関しては、言及しておくべきポイントがもう一つあります。足の外側の小指の付け根付近のソールが外側に張り出しているのが分かるでしょうか。真上から見てもその部分だけ、黄色いミッドソールが顔を覗かせていると思います。着地時に最初に地面とコンタクトする母指球エリアの底面積を広げて物理的に安定感を高めるとともに、足が外側に倒れこもうとしても、その出っ張り部分のアウトソールが最後まで路面と接した状態で残るので、それが無いのに比べ圧倒的に踏ん張りが効きます。ほとんどの人が気付かないであろう小さな出っ張りではありますが実は大きなシゴトをしてくれているのです。

ソールに関する話題はここまでにして、アッパー部分の特徴について解説していきましょう。〈TX 5 LOW GTX®〉を見て、まず目が行くのは、ミッドソールとアッパーの接合部を覆う肉厚のランドラバーではないでしょうか。爪先からヒールまでシューズの外周を途切れなくカバーしています。ライニングにGORE-TEX®を採用していても、アッパー素材が摩耗して、物理的に穴が空いてしまっては、その性能を十分に発揮することができないので、摩耗しやすいこの部分の耐久性を高めることは、シューズの寿命に大きく影響するポイントとなります。

〈TX 5 LOW GTX®〉に関しては、シューレース(靴紐)システムにも特徴があります。LA SPORTIVAの長い歴史の中で語り継がれ、今でも現役で販売されている(※現在、日本国内での取り扱いはありません)クライミングシューズのレジェンド〈MYTHOS(ミトス)〉のシューレースシステムを引き継いでいます。

〈TX 5 LOW GTX®〉を実際に手に取って靴紐を辿っていただくと分かるのですが、爪先から踵まで靴紐をグルッと1周回した上で、その紐に編み込むようにシューレースが通されています。そうすることで、部分的に締め付けが強くなってヨレたりすることなく、全体的に締め込まれていき、より高いフィット感が得られるのです。このシューレースシステムは、ハイカットブーツの〈TX 5 GTX®〉には搭載されていない仕組みです。

〈TX 5 LOW GTX®〉を構成する主な機能紹介は以上となります。パッと見はシンプルな防水仕様のローカットシューズではありますが、詳しく紐解いていくと「マウンテニアリング(登山)」、「クライミング」、「トレイルランニング」のシューズに採用されたテクノロジーを組み合わせ、軽量でありながら本格的な野外活動における安定性と耐久性を追求した製品であることが、お分かり頂けたと思います。

おわりに

ここまで「TXシリーズ」の解説を含め〈TX 5 LOW GTX®〉と〈TX 5 GTX®〉を中心に、ご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したようなアプローチシューズやトレイルランニングシューズなど、比較的軽量なシューズのラインアップの中にも、登山やハイキングなどに適応する製品がいくつもありますので、まだそのようなシューズを「履いたことがない!」という方には、是非お試しいただき、ファストで軽快な登山にトライして頂ければと思います。

装備を軽くすることは、ときに「軽装」と勘違いされることがありますが、そうではありません。軽量化するためには、そのトレードオフとしての経験、体力、そしてリスク回避の知識も必要になります。シューズを変えることによって、新たな山行スタイルとの出会いや発見があり、携行する装備の考え方含め、アウトドアライフの楽しみがまた一つ増えるかもしれませんよ!

では、最後にフィッティングについても少し触れておこうと思います。人の足型は千差万別ですので、一概に言及できないところもありますが、オンラインストアなどでシューズを購入する際にも気になるポイントかと思いますので、参考にしてみてください。

「LA SPORTIVAはイタリアブランドなので、シューズの幅が狭いのではないか」と耳にすることがありますが、「スポルティバのシューズ=幅が狭い」ということはありません。モデルによってはタイトな製品もありますが、今回ご紹介した〈TX5 LOW GTX®〉と〈TX5 GTX®〉は、足型に十分なボリュームを持った仕様であるため、幅広・甲高の足型でも、比較的余裕を持って履けるシューズです。

ちなみに、「TX 4シリーズ」(写真左)と「TX 5シリーズ」(写真右)を比較すると、同サイズであれば後者の方が全体的に足型のボリュームに余裕があります。「TX 5シリーズ」は登山・ハイキング用途での使用を想定しているため、防寒のための厚手ソックス着用時や、長時間歩行時による足の浮腫みなど、足のボリュームの変化を想定した足型の設計となっています。一方「TX 4シリーズ」は、クライミング用途でも使用するため、フィッティングとしては多少タイト目に作られていています。

さて、第2回となるFOR OUR MOUNTAINもこれで、おしまいです。今回は〈TX 5 GTX®〉と〈TX 5 LOW GTX®〉の2足をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今でこそ多くのメーカーが様々なスタイルの登⼭靴を製造・販売する時代になりましたが、90 年以上前から北イタリアの⼭岳地帯で登⼭靴に向きあい、現在でも常に⾼度な技術で新しいプロダクトを提供してくれている孤⾼のアウトドアシューズブランド、LA SPORTIVA。世界的ブランドになった今でも、ドロミテの⼭麓にある⼭間の⼩さな町に本社⼯場や開発センターを置き、様々なアウトドアアクティビティのフィールド、そして登⼭家やアスリートをはじめとするユーザーに寄り添ったモノづくりが⾏われています。そのような開発環境だからこそ⽣まれる”伝統と⾰新”を象徴するようなこの「TXシリーズ」。それぞれの⼭⾏スタイルにフィットする⼀⾜を⾒つけて、これまで以上に快適で躍動的な⼭旅を楽しんでいただければと思います。

[ 次回予告 ]

次回は、「トレイルランニングシューズ」と「アプローチシューズ」のハイブリッドとして誕生した今シーズンの新商品〈TX GUIDE(TXガイド)〉をご紹介したいと思います。今回の「TX 5シリーズ」とはまた違った新たなアウトソールの素材、そしてパターンを採用しています。このシューズで現在開拓中のロングトレイルルートをファストパッキングスタイルで駆け回っていますが、これまでの“TX”とはまた一味違ったシューズですよ!

それでは、また次回お会いしましょう。ありがとうございました。

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FOR OUR MOUNTAINWRITTER

写真:一瀬圭介

<LA SPORTIVA アンバサダー>
一瀬 圭介 Keisuke Ichinose

プロマウンテンアスリート・山岳カメラマン。アラスカなど極北地帯の雪上を数百キロ進む超長距離バイクパッキングレースを中心に、ファットバイクによる競技活動を行う。また、山岳カメラマンとして国内外のアウトドアフィールドにおける映像制作なども手がける。2020年より福島県二本松市岳温泉にて「丘と山製作所」を立ち上げ、磐梯・吾妻・安達太良山域にてアウトドアアクティビティに関する事業も展開する。カリマーインターナショナル / ラ・スポルティバ アンバサダー

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